漢方薬・生薬認定薬剤師試験 まとめ
漢方薬・生薬認定薬剤師の勉強をするよ。
過去問を中心に学んだことをまとめるよ。
間違ってるのもあるかもしれないから参考程度にしてね。
ちょこちょこ更新するよ。
修治
修治とは生薬の下拵えだよ。
- 毒性刺激性副作用の軽減(附子)
- 生薬性能の改変(地黄・芍薬)
- 薬効の増強→塩とか酒とかで加工 ・甘草+はちみつで灼甘草
- ・升麻、桔梗、遠志、天門冬+はちみつ→潤肺止咳効果↑
- 変質・虫害の防止
- 矯味矯臭
- 非薬用部分の除去
- 粉砕性の向上
過去問によく出る奴
〇附子・猛毒のアコニチンを蒸したりして弱毒化(炮附子)
〇人参
・根のでんぷんを糊化することで虫害を防ぐ
・そのまま乾燥する→白参(生干しニンジン)
・軽く湯通しして乾燥→御種ニンジン
・蒸した後に乾燥→紅参
〇地黄
・そのまま乾燥→乾地黄
・蒸す煮る→熱地黄
〇牡丹皮
・根からひげとか取り除いて芯を抜き取る(除芯)
〇ショウガ
・そのまま乾燥→生姜
・湯通し蒸して乾燥→乾姜(辛み成分のgingenol↓ shogaol↑)
君臣佐使
生薬の構成は君臣左使で成り立っているよ。
〇君臣佐使
君:中心生薬
臣:君薬の作用を補助し、強める生薬
佐:君臣薬の効能を調節する作用をもつ生薬
使:君臣佐薬の補助的な役割をし、処方中の生薬の作用を調節したり、漢方薬を服用しやすくする生薬
(佐と使はいっしょくたのケース多い)
例えば… 桂枝湯(桂皮、芍薬、大棗、甘草、生姜)では
君:桂皮
臣:芍薬
佐使:大棗、甘草、生姜 になるよ。
過去問には君臣佐使の名前と役割の穴埋めで出たことがあるよ。
構成生薬から見る漢方処方の成り立ち
赤字にした部分はいろいろな問題に絡めて出されることが多いよ。
薬効や構成生薬も調べておくといいね。
麻黄剤
麻黄・・・発汗・発熱・止咳・鎮痛
葛根湯、麻黄湯、越婢加朮湯、五虎湯、ヨクイニン湯
柴胡剤
柴胡・・・腹診における胸脇苦満
地黄剤
温清飲、牛車腎気丸、四物湯、十全大補、八味地黄丸
参耆剤
人参、黄耆・・・気虚における全身倦怠感
石膏剤
石膏・・・熱さまし、口渇
越婢加朮湯、五虎湯、麻杏甘石湯
附子剤
附子・・・冷えや痛みを改善
牛車腎気丸、真武湯、桂枝加朮附湯
●脾胃虚弱
脾胃虚弱の第一選択・・・六君子湯
(白朮・茯苓・陳皮・半夏・人参・甘草)
冷えにより胃腸症状あり・・・人参湯
(人参・白朮・甘草・乾姜)
さらに冷えが強い場合・・・
附子理中湯(人参湯+附子)
脾胃は正常だけど食べ過ぎの消化不良・・・平胃散
(蒼朮・厚朴・陳皮・甘草)
胃のつかえ・心下ひこう・・・半夏瀉心湯(半夏・オウゴン・乾姜・人参・黄連・甘草・大棗)
胸脇苦満あり・・・大柴胡湯
漢方の古典
古典問題は必ずといっていいほど聞かれているよ。
下にまとめた基本的なところはおさえておこうね。
〇「神農本草経」作者:?
後漢365種の薬物を薬効や毒性により
「上品(120種)」「中品(120種)」「下品(125種)」に分類して記載
〇「傷寒論雑論」 作者:張仲景
「傷寒論」・・・急性疾病の治療書
「金匱要略」・・・慢性疾病の治療書
※ポイント
後世の書物はこの三つをあれこれアレンジ改編したりしたのが多い。
〇黄帝内径 作者:?
『黄帝内経』=『素問』+『霊枢』
「内経系医書」とか「黄帝医籍」という分類で表現されることが多い
陰陽五行のバランスを重視してる。
陶弘景の本草経集注をアレンジしたもの
〇「千金方」「千金翼方」作者:?
医学書的なもの
〇「本草綱目」 作者:李時珍
明の時代 1900種類
〇「本草綱目啓蒙」 作者:蘭山
本草綱目から発展した
〇「薬徴」 作者:吉益東洞
漢方のアレンジ
ある漢方薬にこの生薬を足すと・・・的なトッピング問題(?)はよく出るよ。
ここは仕事にも応用できる知識なのできちんと押さえておこう。
〇桂枝湯(桂枝・芍薬・大棗・甘草・生姜)
- 桂枝湯+葛根 ・麻黄 →葛根湯
- 桂枝湯+竜骨 ・牡蠣 →桂枝加竜骨牡蛎湯
- 桂枝湯+附子 ・蒼朮 →ケイシカジュツブトウ
※ポイント
桂枝湯は一般的には風邪薬として使用されることが多いけど
体力が衰えたときの補剤としての側面もあるよ。
なので・・・
〇四物湯(地黄・当帰・芍薬・センキュウ)
- 四物湯+黄連解毒湯→温清飲
空欄【6】~【9】に相当する漢方処方構成生薬を下の(a) ~ (f) から選び記号で 答えよ。
1) 麻黄湯 = 麻黄、(【6】)、桂皮、甘草
2) 麻杏甘石湯 = 麻黄、(【6】)、甘草、(【7】)
3) 桂枝湯 = 桂枝、(【8】)、甘草、生姜、大棗
4) 小建中湯 = 桂枝、(【8】)、甘草、生姜、大棗、(【9】)
(a) 柴胡 (b) 膠飴 (c) 杏仁 (d) 芍薬 (e) 石膏 (f) 地黄
☆解説☆
気を巡らせ温める麻黄と桂皮、咳を止めるための杏仁、作用をマイルドにする甘草で構成されているよ。
麻黄湯=麻黄+桂皮+杏仁+甘草
・麻杏甘石湯は小児の喘息によく使用する漢方薬
麻黄湯に肺の熱を冷ます石膏をプラス。
麻黄湯+石膏→麻杏甘石湯
・ちなみに麻杏甘石湯+桑白皮(そうはくひ)→五虎湯
咽頭痛や咳嗽(がいそう)が強いときに使うね、小児の耳鼻科でよくみるね。
副作用
どの薬にも副作用はあるよ、漢方薬とて例外ではないよ。
有名なものから最近話題のものまでいくつかあるので覚えておこう。
-
低カリウム血症ミオパシー(筋障害の総称 筋力低下 こわばり)
-
高血圧
- サイアザイド系降圧利尿薬(トリクロルメチアジド)
漢方のおしゃれな使い方
漢方薬の使い分けや新しい使い方など知っておくと一味違う知識。
〇糖尿病
(上)口渇・多飲→白虎加人参湯、麦門冬湯
(中)便秘→大柴胡湯、防風通聖散
(下)多尿・体力疲弊・腎障害→八味地黄丸、清心蓮子飲
- 眼底出血→温清飲
- 糖病病性網膜症白内障→八味地黄丸
- 糖尿病性神経障害→牛車腎気丸
- 多尿・残尿感・頻尿→清心蓮子飲
- 口渇→白虎加人参湯
〇冷え痛みの改善
附子剤がメイン(新陳代謝亢進作用、鎮痛作用、強心作用)
陰病で寒の症状が甚だしい状態に用いる温熱薬として位置づけられている。
なので附子剤を用いるのは、体力の低下、四肢の冷えなどエネルギーの不足の状態 (陽病に用いると附子の中毒症状が増す可能性)
- 真武湯(しんぶとう):下痢や腹痛などの消化器症状、慢性腎炎、神経痛など使う
- 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう):悪寒や寒気が強いなど冷えの強い風邪に用いる。
- 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう):関節痛や神経痛など四肢・体幹の疼痛性疾患
- 附子理中湯(ぶしりちゅうとう):冷えが強い人の胃腸障害、食欲不振などに用いる。
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):腰部や下肢の倦怠、冷え、痛み、脱力感や、腎炎、糖尿病、白内障などに用いる。
※ポイント
〇地黄丸類の使い分け
- 六味丸+附子・桂枝(あたためる)→八味地黄丸
- 八味地黄丸+ゴシツ・シャゼンシ(痛み止め効果強い)→牛車腎気丸
なので火照りの記載あれば六味丸 、冷えがあれば八味地黄丸、痛み顕著な場合は牛車腎気丸が適している。
〇肥満
- 防風通聖散・・・皮下脂肪多く便秘がち
- 大柴胡湯・・・上腹部が張っている(胸脇苦満)
- 防己黄耆湯・・・色白、水太り、膝関節に痛みあり
○×問題
1)十全大補湯は補剤として体力低下の改善に用いられる。
2)桂枝茯苓丸は駆瘀血薬のひとつで婦人薬として用いられることが多い。
3)葛根湯は体力が無く胃弱な人の、発汗を伴う風邪に良い。
4)八味地黄丸は胃炎、胃アトニーの改善に用いられる。
5)芍薬甘草湯は急迫性疼痛に有効であり、こむら返りにも薬効を示す。
×葛根湯(&麻黄湯)は発汗がないときに用いる&地黄が含まれているので胃弱い人には向かない。
×八味地黄丸は腎虚に用いる。
○×問題
1)葛根湯は低血圧の人に使用するとき特に注意を要する。
3)麻黄、人参は血圧の高い人に使用するとき特に注意を要する生薬である
4)甘草は浮腫のある人に使用するとき特に注意を要する生薬である。
×葛根湯はグリチルリチンの影響で血圧上昇することがあるので高血圧の人で注意
○小柴胡湯とインターフェロン併用で間質性肺炎がおきることあるので禁忌
○麻黄、人参では血圧が上がることがあるので注意
○甘草はグリチルリチンの影響で浮腫むことあるので注意
〇×問題
確認試験
〇気泡試験
サポニン+水→泡立つ
威霊仙、遠志、ゴシツ、柴胡、セネガ
〇リーベルマン試験
→トリテルペノイド赤紫、ステロイド青
猪苓、ブクリョウ、オウセイ、サンヤク,ゴオウ
〇マグネシウム塩酸
フラボノイド+リボン状マグネシウム+塩酸→アントシアニン系色素
エイジツ、キジツ、ジュウヤク、チンピ
〇ドラーゲンドルフ試薬
アルカロイド→橙赤色の沈殿
〇塩化鉄試薬
フェノール性水酸基→暗紫青
アマチャ・オウゴン、クジン、ゴシュユ
〇でんぷん
でんぷん+ヨウ素液→ フェーリング試薬
〇還元糖
オウセイ・シャゼンシ
※精油を含む生薬
→茴香、 枳実、 桂皮、 細辛、 十薬、 蒼朮、 丁字、 陳皮、 当帰、 薄荷、 白朮
薬用部位・成分まとめ
まずは、よく問題になる生薬の薬用部位をまとめるよ
根と根茎は紛らわしいので注意しなきゃね。
〇果実
〇果皮
- チンピ・・・ミカン科
- サンショウ・・・ミカン科
〇種子
〇 根茎
〇根
- 黄耆・・・マメ科
- 黄ごん・・・シソ科 コガネバナ バイカリン
- 遠志・・・ヒメハギ科
- 葛根・・・マメ科
- 桔梗・・・キキョウ科
- 柴胡・・・セリ科 ミシマサイコ
- 地黄・・・ゴマノハグサ科 ジオウ
- 芍薬・・・ボタン科 ペオニフロリン
- 当帰・・・セリ科
- 人参・・・ウコギ科
- 附子・・・キンポウゲ科 アコニチン
- 牡丹皮・・・ボタン科 ペオノール
〇花
〇樹皮
〇根及びストロン
構造式
-
アネトール(ウイキョウ):語尾が~ol だけどOH基はもっていない
-
オイゲノール(チョウジ)
-
シンナムアルデヒド(桂皮):なんか単純なシンナム
- バイカリン(黄ごん)
-
メントール(ハッカ):モノテルペン
- グリチルリチン(葛根):トリテルペノイドサポニン
-
ヒヨスチアミン(ロート根)
-
アトロピン:トロパンアルカロイド
-
アコニチン(附子) ジテルペンアルカロイド
- ビンブラスチン(キョウチクトウ)
- ベルベリン(黄柏):
- エフェドリン(麻黄)